「さ~ボード」プロジェクト(11)ー 教材への適用・自動販売機

2018年3月、文部科学省から「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」が公開されました。
新学習指導要領での小学校でのプログラミング教育の内容については官民でさまざまな議論されてきましたが、明確なガイドラインがないため現場での混乱と不安が広がり、2020年からの実施が危ぶまれています。
この「手引き」でそれが一掃されるとは思えませんが、少なくとも小学校で必ず実施すべき内容、できれば実施したい内容、民間に任せてよい内容が明示されたのは大きな前進です。

小学校で必ず実施すべき内容としては、5年生算数の「多角形と円」、6年生理科の「電気の性質と働き」が挙げられ、さらに「総合的な学習の時間」の中で扱うことも可能とされています。
総合的な学習の時間で、情報に関する探究的な課題として扱う例として、
「身の回りの様々な製品やシステムが、プログラムで制御されており、それらが、機械的な仕組みとは違った利点があることを、ジュースの自動販売機のプログラムの作成を通して体験的に理解する…、硬貨が投入されるとボタンが押せるようになり、ボタンを押すことでジュースの缶を排出する、といった自動販売機の動きの一部(投入された硬貨の合計額を求める、投入された金額で買える商品だけボタンを押せるようにする、ボタンが押された商品を排出するなど)を再現するプログラムを作成します…
なお、ジュースの自動販売機をコンピュータの画面上で疑似的に再現するだけでなく、センサーを用いてスイッチを押されたことを検知したり、モーターを用いて商品を排出したりするなど、自動販売機のモデルを製作することなども考えられます。」
という記述があります。(P23~24)

「さ~ボード」はこの課題に対応することができます。
自動販売機のモデルは段ボールなどで自作することも可能ですが、バンダイの「さくっと工作!うまい棒の自動販売機」という製品がありますので、これを改造してみました。

本来は紙製のドラムを手で回して、中にあるうまい棒を落下させる仕組みですが、針金を軸にしたボール紙の半円筒に置き換えました。半円筒内にうまい棒を置き、軸をサーボで180度回転させて落とす仕組みです。

コインセンサーは、ボール紙に間隔をあけてアルミホイルの小片を2枚貼った接点を作り、コインが接点を短絡するのを検知するようにしました。これなら小学生でも作れます。

コインセンサーは「いぬボード」のセンサー入力端子に接続します。標準では光センサーが有効になっているので、ジャンパを移動してセンサー入力端子の抵抗値を取得するようにします。
いぬボードは入力端子間の抵抗値に比例した音量で、音声信号をPCのマイク入力に送り込みます。導通しない状態で音量MAX、短絡状態で音量0になります。音量はScratchの「音量」変数で取得することができます。この例ではコインで入力端子が短絡されると音量が0になり、コイン投入の判定ができます。

コインを検知したら、販売用のボタンをイネーブルにし、ボタンが押されたらサーボを180度回転させればうまい棒がゲットできるということで、「手引き」の内容を忠実に実現することが可能です。